花瓶

「自然消滅ってなんだか寂しい気がします」
そう言って歩き去る彼女を見ていた男は、ふと花瓶を思い出していた。

お花は、枯れるから悲しい、そう言った女性(ひと)がいた。
私は、枯れてしまった花瓶を洗う役割だった。
花瓶は、洗っても綺麗にならない。
そこに新しい花を添えてこそ、美しく映えるのだ。
そのためには、洗って水を変えて、新しい花を見つけてこなければならない。

そんなことを考えているうちに、
彼女は振り返らずに角を曲がっていた。

曲がったのは桜坂だ。
桜はいま、どこまで咲いたのだろう。
一本、折って帰ろうかしら。

そんな一日。

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